どんな仕事なの?
心臓や血管(大動脈、肺動脈、冠動脈、末梢血管)を手術を介して治療するというのが主な仕事です。しかし、手術が成功するための入念な準備と手術が終わった後の患者さんの身体のメンテナンスも心臓血管外科医の大切な仕事です。
心臓血管手術は身体にストレスがかかる手術が比較的多いので、早くかつ正確に手術が進むようにしっかりと手術計画を立てて、医療スタッフ内で情報共有を徹底して、連携を密にする必要があります。
周術期(手術前後の期間)には、常に患者さんの全身状態を細かく把握することもとても重要です。手術前の状態を知っておけば、何に注意を払えばよいかよく分かりますし、異常を素早く発見できることにもつながります。また、手術後も注意深く観察して細やかに対応すれば、トラブルを未然に防げたり、手術後の回復を早めたりすることができます。
そして退院後の外来フォローもとても大事です。せっかく命がけの手術が成功したのに、患者さんの生活習慣がボロボロですと、すぐに元通りになりかねません。手術の種類によっては、薬を一生涯飲み続けないといけない場合もあり、薬を中止してしまうと命に関わる合併症を起こしてしまうこともあります。そうならないように、生活・内服指導やサポート体制の構築が必要不可欠なのです。
患者さんの一生が少しでもプラスになるように試行錯誤するのが、この仕事のやりがいだと思っています。
心臓血管外科医になるには?
本邦で心臓血管外科医になるための一般的な方法は、
- 高等学校卒業(もしくは高等学校卒業程度認定試験合格)
- 医学部医学科が設置されている大学に入学
- 最低6年間の大学教育を受けて卒業
- 医師国家試験に合格
- 2年間の初期研修
という流れになります。
その後、数年間の後期研修を経て、
- 外科専門医
- 心臓血管外科専門医
- 修練指導者
を順次取得していく形になります。
どんな病気を治療しているの?
心臓血管外科医が治療する臓器は、「心臓」と「血管」です。
心臓は、作業心筋、電気伝導系、冠循環、弁によって成り立っており、血管は大動脈、大静脈、肺動脈、肺静脈、末梢血管によって成り立っています。
そして、各々に異常が出た場合に「疾患」が生まれます。
具体的には、
- 心臓
- 作業心筋に異常が出た場合:心筋症、心筋炎、心室瘤、心室破裂など
- 電気伝導系に異常が出た場合:不整脈
- 冠循環に異常が出た場合:狭心症、心筋梗塞、冠動脈瘤など
- 弁に異常が出た場合:弁膜症(狭窄症、逆流症)、感染性心内膜炎など
- 血管
- 大動脈に異常が出た場合:大動脈解離、大動脈瘤、外傷性大動脈損傷など
- 肺動脈に異常が出た場合:急性肺塞栓、慢性血栓性肺高血圧症など
- 末梢血管:急性動脈塞栓、感染性動脈瘤など
と言った疾患があり、それぞれに対して治療を行っています。
どんな手術をしているの?
心臓血管外科医の手術内容は多種多様です。
例を挙げてみると、
- 心臓
- 作業心筋に対する手術:心室形成術(心室の穴を塞いだり、形を整えたりする)
- 電気伝導系に対する手術:MAZE手術(不整脈の原因となる伝導路を焼いたり、凍らせたりする)、ペースメーカー植え込み術
- 冠循環に対する手術:冠動脈バイパス術(他の血管を用いて冠動脈に血流を供給するようにバイパスする)
- 弁に対する手術:弁形成術(弁の形を整える)、弁置換術(弁を人工の弁に置き換える)
- 血管
- 大動脈に対する手術:人工血管置換術(異常な大動脈を切除して人工血管に置き換える)
- 肺動脈に対する手術:血栓除去術(肺動脈内の血栓を除去する)、内膜剥離術(内膜ごと硬くなった血栓を除去する)
- 末梢血管に対する手術:血栓除去術(血管内の血栓を除去する)、動脈形成術(動脈の形を整える)、透析シャント作成術、下肢静脈瘤切除術
その他にも、近年、増加傾向にある経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)やステントグラフト内挿術(EVAR/TEVAR)などの血管内治療や、植込型補助人工心臓(VAD)装着術や心臓移植なども行います。
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